愛を感じていない子供にはさまざまな恐怖や不安がある

母親が支配的だと、自分の支配できる子は「良い子」と思う。
つまりこの場合「良い子」とは、母親の支配欲を満たす子供である。

母親の欲求不満を満たす子供である。
つまり、親と子供の役割が逆転している。

本来は親が子供の不満を解決してあげなければならない。
こうして「良い子」は支配的な母親の顔色をうかがうようになる。

一見して立派な親が子供をおかしくするのはこのためである。
愛を感じていない子供には、置き去りにされること、捨てられることなど、
さまざまな恐怖や不安がある。

そしてこれらの不安や恐れを利用して親が子供を育てることがある。
親が子供に言うことを聞かせるためにこの恐れを利用すると、
その結果子供は生きることそのものを恐れるようになる。

うつ病者が悲観的傾向になるのは、こうした恐れを
利用した子育てをされたからである。

「良い子」は自分の人生に、何か良くないことが
起きるのではないかと恐れている。

そしてその恐れこそ、子供をいつまでも母親に依存的にしておく原因であろう。
この恐れを利用して子供を育てる親は、自分がどんなにひどいことを
子供にしているかに気がついていない。

子供を「良い子」にする親は、子供との関係では自己肯定・他者否定であろう。
子供が自分の支配に服従している限り、その子は「良い子」であり、
保護しようとする。

しかし、決してその子の人格を尊重しているのではない。
親は子供のことをよく世話しているようであるが、
それは結局自分の支配欲を満足させているにすぎない。