勝ちたいくせに努力しない人がいる。
つまり勝ち負けにこだわるくせにすぐに降りるタイプである。
このタイプの人が会社のお金を管理する立場になるとどうなるか。
会社のお金を使い込むようなタイプの人になる。
体裁にこだわりながらも体裁を整える努力はしない。
汗を流す努力はしない。
けれども体裁の悪いことはしたくない。人にいい顔したい。
人にいい顔をしながらも、いい顔をするだけの努力はしない。
そうした努力をしないで体裁を整えるためには、何か特別なことを
考えなければならない。あるいは何か特別なことをしなければならない。
会社の書類を少し書きかえるだけでお金が転がり込むとなれば
このタイプは誘惑に勝てない。
部下にいい顔をしたい。愛人にいい顔をしたい。
親戚に尊敬してもらいたい。友人に自慢話をしたい。
しかしそれをするための努力は辛いから嫌だとなれば、することは決まってくる。
使い込みである。これほど楽にお金が転がり込むことはない。
使い込みをするような人は、たいてい自己不在で、努力はしたくないが、
常に人にいい顔をしたいタイプである。
こういう人達は言う事はきれいだが、常に自分を体裁よく取り繕うことしか
考えていない。あまりにも立派なことを言う人は卑怯な人が多い。
「かわいそうで、かわいそうでたまらないのよ」などと自分の愛情深さを
声高に誇示する人は、たいてい冷たい利己主義者である。
本当に心の温かい人は、そんなことを言う前に実際に行動している。
実際に行動をしない使い込みタイプの人がきれいなことを声高に言うのである。
言葉上手の神経症者に引っかかるのもまた神経症者である。
きれいごとを言う人が、実は会社のお金を使い込むタイプである。
会社のお金でなくても自分が管理しているお金を使い込むタイプである。
使い込める立場に立てば、神経症的は人は使い込む。
使い込みがばれないことはまずない。
こうして神経症的要求をしている人達はどこかで人生に大きくつまずく。