神経症者は人の苦労が見えない
神経症者は他人がしている苦労が分からない。
神経症者には他人が人知れずしている苦労が見えない。
だから不平不満が多いし、妬みやすいのである。
見ていると不平不満分子というのは、他人がしている人知れぬ努力とか、
他人がしている人知れぬ苦労とか、そのようなものが全くと
言っていいほど見えない。
何故だろうか。
それは、何よりも彼らが自己中心的だからである。
自分の心の葛藤にばかり気をとられて、他人のしている努力や苦労が見えない。
つまり、人の恵まれた明るい面にばかり注意をしているというよりも、
自分の心の葛藤をどのように解決するかということにばかり気をとられて、
人のことが見えないと言った方が正しいのではないだろうか。
人のしている陰の努力や苦労が見えないで、
その結果ばかりに注意を集中するので、人のことがいつも羨ましい。
そこでいつも人を妬んでいる。
従って格言によく言われるごとく、「隣の芝生は青い」のである。
他人がその芝生を美しい緑にしておくためにしている努力や苦労が見えない。
したがって、自分の芝生を緑にする努力や苦労を怠ることになる。
つまり妬みやすい神経症者にとって、
芝生は努力なしに美しくて当たり前なのである。
妬みやすい神経症者には、人が障害を克服して自分の人生を
けなげに生きているというようなことが見えない。
他人が人生のさまざまな障害と戦っているということが理解できない。
そのような人が神経症者の前にいても、その人の努力や、
けなげに生きる態度に気がつかない。