母親からの心理的離脱が心を開く条件である

誰だって母親に愛されたい。それは人間としての本質的な願望であろう。
だからこそほんのわずかの思い出でもそれにしがみついて、
「でも母親はやさしくもあった」と思いたいのである。

母親のイメージに執着するのは、母親への葛藤があるからにほかならない。
望むだけ愛されなかったことへの恨みと、なお愛されたいという気持ちの葛藤が
心の中に母親を大きな存在としてしまっているのである。手(パー)

母親を理想化する傾向があるのは、不安神経症的傾向があるからではないだろうか。

いつまでも母親と自分との本当の事実に直面することを避けている人は多い。
だから先に進めないのである。ふらふら

神経過敏で傷つき易い人、強迫的に威信を求める人、いつも自分と他人を
比較して自分を評価する人、心の底で他人の不幸を喜んでいる人、
それらの人は、一度本気になって、自分は、自分と母親との関係の本当の事実から
眼をそらしていないかどうか考えてみる必要があろう。

そして自分の母がよい母でないとしても、気がひける必要など全くない。
そのような母であるがゆえに自分の心が病んでいるとしても、決して
気がひける必要などない。exclamation

不安神経症の人には自分の母を慕う気持ちが強い。自分の母親を理想化する。
一方で自分の母を慕いながらも、他方で自分の母を恨む。パンチ

従って不安神経症の男性は、近しい女性と本当に親密になることはできない。
母からの心理的離脱が心を開く条件である。

自分の親をありのままに評価することができるようになって、
はじめて心理的離脱は遂げられたと考えることができる。