それぞれに必要な判断力
真面目でなければ人に迷惑をかける。真面目さは必要である。
「人との約束に遅れてはいけません」という躾は、子供に大切である。
しかし約束の時間に遅れて家に帰った夫がいるとする。その時に
「あなた、遅れたわね、私は食事をしたわよ。あなたの食事は作ったわよ」
と言われれば怖い。一緒に生活していけない。
ビジネスで約束の時に遅れるのは困るが、私的な時にまであまりにも
厳しくそれをしていては相手は息が詰まる。
子供の躾にも、その時々の状況を判断する力を身につけさせることが
大切である。躾は習慣であり、身についたものである。
「人との約束に遅れてはいけません」と教えると、状況を判断しないで
それを守ろうとする。それは困る。
ある「べき」とはあくまで、その状況に応じ、その子供に応じてある
「べき」ことである。その子供に対応した規範が必要である。
整理が好きな子もいれば、整理が苦手な子もいる。
麻薬が悪だと言っても、医者は病人を見て手術の時に麻薬を使う。
状況判断である。何がいいか、何が悪いかを、その状況に応じて判断しないで
単なる規範を振り回す人がいる。
頭がコチコチで人間関係はうまくいかない。そしてそういう硬直化した人は
いつも怒っている。
公的なことと、私的なことでは、物事の問題点の捉え方が違う。
おおよその視点と正確な視点とでは人生の見方が違う。
おおよその視点が望ましい時と正確な視点が望ましい時がある。
おおよその視点が望ましいのは愛のとき、子育てのときなどである。
そんな時にきちきち見られたのでは息が詰まる。
しかし目的の見方、人間の選別の時は概算ではダメ。ビジネスでは相手を
正確に見る。赤は赤と正確に観察することが大切である。
一人の男を正確に見る人は、詐欺にあわない。
公的に必要なのは真面目さだけれど、私的な付き合いに必要なのは
温情、優しさである。