全て物事は自分の思い通りになってしかるべきである
悩んでいる人の言うことは間違っているというよりも、偏っている。
「私はこんなに悩んでいる」ということは確かであろう。
しかしそれだからといって、周囲の人に対して特別な権利が生じるわけではない。
周囲の人に特別の要求をしていいというわけではない。
「自分はこんなに必死に会社に訴えた」ということも、主観的には事実であろう。
しかしだからといって、自分が特別な社員になる資格を獲得したということではない。
会社が自分にだけ特別の注意を払う義務があるわけではない。
それにもかかわらず、神経症的な人は、「こんなに必死になって訴えたのに」
あのような許せないとなる。
彼等は自分が、こんなに、これこれをしたのに、と自分のしたことを
強調して相手を責める。
そのように責めることで、相手の罪の意識を刺激して、
自分の要求にしたがわせようとする。
しかし普通の人には、ここまで強度に神経症的になっては、手に負えない。
このようになってしまうのは、一つにはちょっとしたトラブルにも
耐える力がないからであり、もう一つには全て自分に都合よくいって当たり前、
何かうまくいかないことがあれば、それは許されないことだという
思い込みがあるからである。
とにかく、全て物事は自分の思い通りになってしかるべきである、
と思い込んでいるからであろう。
深刻に悩む人は、たいてい心の底のどこかに、このような考え方を持っている。