自分が子供に愛を求めているとは気づかない
子供が親を憎むように、親が子供を憎む。
そんな馬鹿なことがあるはずないと思う人がいるかも知れない。
しかし、親も子供を憎む。
例えば、子供が親を憎むのは簡単である。子供にとって親は必要なときに
そこにいなければならない存在である。
したがって、自分がいてもらいたいときに、そこにいない親を子供は憎む。
何も親が子供を殴ったから、子供は親を憎むのではない。
親が自分の身勝手な期待にそわないことで子供は親を憎むのである。
同じことが逆の場合も起きる。つまり子供が自分の期待に応えないときに、
親は子供を憎む。
本来は親が子供の世話をするのだが、現実には親が子供に自分の世話をすることを要求し、
実際にそれが行われることがある。つまり親が子供にしがみついている。
親は子供を育てるために子供の気持ちを汲み取る。
子供は自分の気持ちを親が汲み取ることを求める。
ところが親子の役割逆転では、親の方が自分の気持ちを子供が汲み取ることを子供に要求する。
そして子供がそれをする。親はそれをしない子供を憎む。
当の親自身が無意識のうちに、子供に親の姿を求めて、自分自身は子供の役割をとるという、
正常な親子関係を逆転させる。
こうして、子供は親を愛するように期待され、親は子供に愛され慰めてもらいたいと求める。
普通、この逆転は隠されている。