他者への関心が自分を回復させる
世の中でいう「模範的な生き方」に従って生きて、
結果として「うつ」になった。その事実と向き合うことである。
自分を解放するはずのものが、自分を束縛するものでしかなかった。
それは自分の中の生命力に関心をもつという、最も大切なことをしなかったからである。
うつ病になるような人は義務を果たそうとし、犠牲を払い、
真面目に生き、仕事も勉強も一生懸命頑張った。
それなのに、今は世の中にとって、ただのお荷物になった。
今までの努力は何だったのか?
しかも毎日が無気力。毎日が不愉快。毎日が憂鬱。とにかく毎日が面白くない。
何故なのか?
それは自分の力に頼って生きようとしなかったからである。
その結果、他人を怒らせるのではないかという恐怖心があった。
自分の弱点が相手を怒らせないかという恐れが、模範的な生き方の動機ではないか?
それがうつ病の原因ではないか?
うつ病になるような人は、長い間恐怖感で生きてきたから、
疲れ果てて前向きのエネルギーはなくなっている。
今は何もする気持ちにもならない。
うつ病になった人は、模範的な生き方をしようとするよりも、今は休むときである。
そして「なぜ自分は模範的な生き方をしようとしてきたのか」を考えてみる。
もしかして自分が自分の弱点に怒っているのに、
他人が自分の弱点を怒っていると思っていたのではないか。
だから自分の弱点が相手を怒らせるのではないかと恐れて、いつもビクビクしたのではないか。
そして何でもかんでも相手のいうことに「そう、そう」と迎合したのではないか。
それが「模範的な生き方」と思っていたことの実態ではないか。
その結果、疲れ果てて他者への関心を喪失した。
他者への関心が自分を回復させるのに、ますます自己執着に陥った。