「なりたい自分」になっても悩みは解決しない

理想の自我像というのは「なりたい自分」や「憧れの自分」に固執している人で、
楽しく生きている人は別に問題ない。

悩んでいなければ、理想の自我像実現には別に問題はない。
そういう人は、別に、心の葛藤に直面することを避けて理想の自我像実現に走っているわけではない。

自己実現の延長線上に、理想の自我像がある。つまり生産的な人である。
楽しく生きているということは、心に葛藤がないということである。

問題は、生きているのが辛い人で、それでも「なりたい自分」や
「憧れの自分」に固執している人である。

ストレスにさらされて、体調を崩しているような人である。
人間関係に消耗し、悩んでいる人である。

そういう人は「なりたい自分」になることで、悩みが解決できると思っている。
しかし逆である。

もともと、「なりたい自分」とは関係なく悩んでいる。
もともと、性格に問題がある。悩みの原因は、心の葛藤である。

その心の葛藤を意識するのが怖いから、「なりたい自分」に固執しているのである。
現実から目を背けている。

「なりたい自分」とは、もともと皆に賞賛される自分である。皆から関心を持ってもらえる自分である。
つまり人の期待に沿うために真の自己を断念した。そうして、本当の自分でない自分で長いこと生きてきた。

その屈辱と怒りのすごさに気がついていない。