趣味をもちなさい
うつ病になるような人に、よく「趣味をもちなさい」とアドバイスをする人がいる。
しかし幼い頃から楽しいという体験がないのに、
「趣味をもちなさい」というアドバイスをするのは、馬鹿げている。
趣味をもてるような人であれば、もともとうつ病にはならない。
趣味がもてないような人だから、うつ病になったのである。
幼い頃からの楽しいという体験が積み重なって、大人になって趣味がもてる。
それなのにうつ病者に「趣味をもちなさい」とアドバイスをする人は、
手足を縛られている人を水の中に放り込んで、「泳ぎなさい」とアドバイスするようなものである。
まず、手足を縛っている縄をほどいてあげることであろう。
そうすれば「趣味をもて」と言わなくても、趣味をもつであろう。
うつ病になるような人に「趣味をもちなさい」とアドバイスをすれば
当然趣味はもつべきものとなり、苦しみをもうひとつ追加するようなものである。
「趣味をもちなさい」というアドバイスは、
うつ病を悪化させることはあっても改善させるようなことはない。
「趣味をもちなさい」というアドバイスではなく、「趣味をもてる人間になりなさい」ということである。
それは自己疎外された人間でなくなること。興味と関心をもてる人間になることである。