努力さえすれば幸せになれるというものではない
不安と向上心とは違う。
向上心からの努力は人を救うが、不安からの努力は人をさらに不安にする。
神経症的な欲張りは、不安なのである。
努力していても、それは向上心からの努力ではない。不安を動機とした努力である。
したがって、努力をすればするほど、ますます不安になる。
どんなに努力しても幸せな日はこない。
努力しないでいられないという努力は、向上心からの努力ではない。
理想とか完全を求める動機には二つある。一つは不安や劣等感から、もう一つは愛情からである。
あることをするときに、劣等感が動機であるのと、愛情が動機でするのとでは全く違う。
深刻な劣等感が動機で、理想とか完全を求めるのは、自分の劣等感を癒すためである。
こういう人にとって大切なのは、自分の劣等感を癒やすことである。
だからこういう人は、現実を受け入れられない。不幸を受け入れられない。
不幸はしつこいというが、深刻な劣等感のある人にしつこいのである。
どんなに環境が変わっても、不幸な人は、不幸。
幸せになるためには、努力すればいいというものではない。
幸せになれるか、なれないかの問題は、努力の動機である。