自分の価値観を相手に押しつけるから反発される

神経症的な人は、他人が自分のことをどう思うかを気にする。
それは彼等が、相手が自分のことをどう思っているかを正確に把握するということではない。

つまり神経症的な人は、他人から馬鹿にされたり、見捨てられたり
することを恐れるあまり、他人が自分のことをどう思うか正確にとらえるゆとりがない。

神経症的な人は他人から尊敬され、認められることが重要なあまり、
他人が自分のことを実際にどう思っているかを間違う。

相手が自分に本当は何を期待しているかが分からない。
自分の重要性を相手に印象づけることばかりに気を奪われて、結果として相手に不愉快な思いをさせる。

「こうでなければ自分は尊敬されない」という間違った思い込みがある。
つまり神経症的な人は、尊敬され、認められることが何よりも重要である。

そうなると自分は「こう」であると人々に見せつけようと努力する。
しかし人々はその人に「こう」であることを期待していない。

神経症的な人にとって周りの人は、自分を重要な人物と認めるためにのみ存在する。
その限りにおいてしか周りの人に関心がない。

神経症的な人にとって、周りの人は周りの人として価値があるのではない。
周りの人は自分を認めてくれるのか、くれないのかという限りにおいてしか価値がない。

しかし周りの人は周りの人で、その人を認めるためにのみ生きているのではない。
周りの人は周りの人の期待でもってその人と接する。

そこに大きなギャップがある。
神経症的な人は周りの人を気にしているようであるが、そうではなく、
周りの人が自分を認めてくれるのかどうかを気にしているだけである。

神経症的な人は自分の劣等感から、こうすれば人々から尊敬されるだろうと
錯覚し、人々の期待しない役割を演じる。

自分の劣等感に振り回されて生きているのである。