子供時代を引きずるという悪循環
「私は愛のない家庭に育ったから、愛のある家庭を築きたい」
といって早く結婚をして、失敗をする人と、成功する人がいる。
成功する人は、その自分の成長した家庭を自分の運命として受け入れた人である。
その苦しみと悲しみを心底味わい、命をかけて乗り越えて心理的に成長する。
その上で自分は、愛のある家庭を築きたいと願い、行動する。
ある女性は三歳の時に両親が離婚した。両親の離婚以前から父親と会っていない。
母親は彼女を父親に会わせない。父親に借金があったと母親は言う。
会わせないのは、会うと父親が彼女にお金をせびるのではないかと心配だと母親は言う。
実は母親は父親に恨みがあって、彼女に会わせたくないだけである。
彼女は彼女で母親に恨みがあった。父親と会わせてくれないから。
彼女は小さい頃から家族が仲良い家庭がうらやましかった。
彼女には父親と一緒の時の写真がないことがつらかった。
彼女は若くして結婚したが、自分と周りの人を比べなかった。子供も早くほしかった。
彼女は最近は母親と仲がよくない。母親と会わないほうがよいな、と思いだした。
そこで母親とも会わない決心をした。彼女はすべてを受け入れて生きている。
その結果、毎日充実している。
困難から立ち上がる人は、今までのひどい人間関係を直視する。
そして、その人達とは距離を置く。その人達を恨むことで、その人達に絡んでいかない。
この彼女と同じような環境で成長して不幸になった女性がいる。
ただこの女性には「世間を見返す」という気持ちが強かった。
この女性は、自分の幸せの形を父親に見せたい。家庭など形が整ったものがほしい。
この女性は、世間に見せつける幸せがほしい。世間がどう見るかがこの女性には大切だった。
彼女は誰かに認められたかった。負けん気で夫にも甘えられない。
もし夫に甘えられていれば、父親の問題は深刻には出てこない。
彼女は父親に支配され続けた。断念できなかった。
父親に「お前を捨てて、悪かった」と言ってもらいたい。
そう言われれば彼女は気持ちが治まると思っている。しかし父親はそうは言わない。
その言葉を期待して、そこでまた彼女は父親に裏切られる。