本物と偽物を見分ける能力の欠如

自分に自信のない人は、自分を傷つけるように傷つけるように動いてしまう。
心に葛藤のある人(多くの場合は親)に認めてもらわなくてもいいのにと
思うのだが、自信のない人にとっては、そのような人に認めてもらう
ことが、ことのほか重要になる。

何故あんな人のご機嫌をとるのだろうと不思議になるが、
自信のない人は心に葛藤のある人のご機嫌をとる。

そしてさらに不思議なことに、自信のない人は心優しい人を粗末にする。

自分を拒否する人に取り入ろうと自分を傷つけ、
自分を受け入れてくれる人を虐待する。

自分の幸福にとってかけがえのない人を虐待し、
自分をさらに傷つける人のお気に入りになろうとする。

自分に自信のない人は、本物と偽物を見分ける能力を失っている。
信じられないくらい偽物に欺かれる。

神経症的自尊心をもち、虚勢を張っているにすぎない人をものすごい大物と思ったりする。
物事にまともに正面から向き合うことができない弱い人を才能豊かな人と言ったりする。

鬱病者は自分に欠けているものを、自分の幸福にとって本質的なことと
みなすというが、それと共通したところがあるのではないだろうか。

自分のもっているものの価値を認めない。自分の弱点を過剰に意識する。
同じように自分を拒否する人に過剰な価値をおき、自分を認めてくれる人をないがしろにする。

自分で自分を軽蔑してしまった人が何に魅力を感じるかということには、
計り知れない不思議さがある。