過去は郷愁を帯びる

重い病になった人が言った。
「自分が本当に欲しいものが欲しいと気がついた時には遅すぎた」

自分は、こういうことをしたいと思ったけれども、これまで人のことを気にして、
今のままに甘んじた方がいいのかなと思ったと言う。

「今になって考えれば、すればよかった」しかし当時は「周囲の人が怖かった」と言う。
人が怖いうちは本当の自分では生きられない。

人は古きを訪ね、そこでエネルギ-が湧く。
本当の自分で生きていれば、社会的に成功しても失敗しても、古きを訪ねてエネルギーが湧く。

本当の自分で生きてくれば、心の中に生きてきた証がある。
証がある時に、本当の自分で生きてきたと言える。

過去は郷愁を帯びる。
実存として生きていれば、いつの時代にも郷愁がある。
精一杯生きた実存としての自分がそこにいる。

当時のことがどのくらい「懐かしいなー」と思えるかが、その時の自分がどのくらい
本当の自分であったかということである。