煩悩はないものに対する不満である

うつ病的傾向の強い人は自分に欠けているものが、不幸の原因だと思っている。
しかし、そう考えるところから不幸は始まっている。
自分に欠けているものに自分が価値を置くからいけないのである。

多くの人は、欠けているものを埋めたい、そして幸せになりたいと思う。
全てが満ち足りていることが幸せになれる条件だと思う。

自分の容姿に自信のない人は、恋人ができない原因を全て容姿のせいにしてしまう。
そして、美人になれば幸せになると思い込んでしまう。
本当はやさしい心があれば幸せになれるのに。

お金が欲しいと思う人は、今お金があれば幸せになれると思っている。
そして、お金を追いかけているうちに、大事な「心」を失くしてしまう。

これは人間が持っている「業」のなせるわざかもしれない。
「業」とは欠けているものを埋めたいと思う強い欲求かもしれない。

こうして、人はあくなき「欲望」に惑わされながら一生を送る。
そして求めるものが手に入らない苛立ちに苦しむ。
不安、不満、憎しみ、悲しみ、怒りを自ら作っていく。

最後には「どうして私だけがこんなめに遭わなくてはならないの」と叫ぶのである。
その原因が自分であるのを忘れて。