ぶらぶらしていながら、不満である

神経症者は他人の明るい面ばかり注視するという。
例えば神経症者は、自分が儲かっても、ときに不服になることがある。

それは自分以上に儲かっている人がいるからである。
神経症的要求の持ち主は、自分が誰よりも一番得しないと
気に入らないのである。

自分が幸運でも、不服になったりする。
他人がもっと幸運に恵まれたからである。

自分が得しながら、なかには不公平だと文句を言う重症の神経症者がいる。
そうなると、得しながら文句ばかり言って一生を過ごすことになる。

神経症者は全てにおいて自分のほうがよくなければ気がすまないから
妬み、僻み、嫉妬がものすごく、結果として自分の人生を不幸にする。

彼らは自分の人生については暗い面、恵まれないところ、苦しいところを見る。
そして他人の人生については明るい面、幸福な面、楽しいところを見る。

ときにそのことを頭ではわかるが、感情的にはどうしようもない。
頭でわかりながらどうすることもできないのは、やはり無意識に問題を
抱えているからである。

頭では確かに、自分一人が特別に幸運でなければならないとは思えない。
しかし自分が誰よりも幸運に恵まれないと気がすまない。

自分も得したとわかっていても、別の人がもっと得したとなると
どうしてもくやしい気持ちになる。

それは仕事でも同じである。何か自分だけに特別に条件のいい仕事でないと
やる気がしない。ぶらぶらして、いっこうに定職につかない神経症者がいる。

一度仕事についても、すぐにやめてしまう。
自分の求めている仕事と違うからである。

神経症者が要求している仕事など、この世の中に存在しない。
買うたびに宝くじに当たるようなことを要求されても無理である。

そうなるとぶらぶらしている以外にない。
ぶらぶらしていながら、不満である。

自分にふさわしい仕事を与える責任は、周囲にあると思っているからである。
ぶらぶらしながら周囲の人を責めていたりする。