神経症者は、相手の目を見ていない
感情的なことでは目は口以上にものを言う。
相手がどんな人物であるかを判断するときには、
口よりも目のほうが参考になる。
神経症者は視線の悪意を読み取れないで、口先の言葉を信じる。
だから人間関係がおかしくなるのである。
おかしくなるとは努力が実らないという意味である。
神経症者は努力しているのだけれども、どうも自分の望みは叶わない。
神経症者は例えば口で「まー、懐かしい」と言いながらも、
実は相手が自分に無関心なことが理解できない。
そこで「まー、懐かしい」という言葉で、相手は自分に
関心をもってくれたかと思い、相手に好意をもったりする。
そして相手のために何か無理をする。
それなのに相手から期待したものが返ってこない。
すると「こんなにまでしてあげたのに」と相手を恨む。
だいたい神経症者は、相手の目を見ていない。
なぜ神経症者は相手を見ないのか。
もっと言えばなぜ相手を観察できないのか。
その一つの大きな理由は、自分の本質を隠しているからである。
自分が隠していることを相手に気づかれることが怖いから、相手の目を見ない。
目を見ないのは、自分のほうにやましさがあるからである。
神経症者は、口ほどにものを言う目を見ていないのだから、言葉の通じない国で
生活しているのと同じなのである。
しかも自分では言葉がわかっていると思っている。
だからあっちでもこっちでもトラブルを起こす。
言葉がわからないのだから、途中で肩を叩いてくれた人についていってしまう。