他人に頼りたいけど、頼れないようになってしまっている
愛情飢餓感を持つ人は心が不安である。
自分との関係においても他人との関係においても不安である。
他人に好かれようとするのは、好かれることで自分を守ろうとしているのである。
十分に愛されなかった人は、この世の中に自分の居場所がないように感じている。
彼にはこの世の中に自分が安心していられる場所がないのである。
したがって何処にいても自分を守らなければならない。
心の健康な人、小さい頃十分に愛された人にとっては、そのような人は
一体何から自分を守ろうとしているのか分からない、と言うかもしれない。
その疑問はもっともである。心の健康な人はこの世で生きることが
怖くないからである。
いつもビクビクしている人がいる。怖いのである。
心の健康な人はなぜ怖いのか分からないであろう。
それは小さい頃ビクビクする必要がなかったからである。
小さい頃の人間は一人で生きられない。
生きるためには他人の好意を必要とする。
その好意を得られないで生きてきた人がいる。
いつも拒絶の恐怖に脅えて生きてきた人がいる。
拒絶されれば死んでしまうのである。
死んでしまうという恐れを味わった人と味わっていない人とでは、
決定的に生きることに対する理解が違う。
ジャングルでに迷い込んで、猛毒の蛇があっちからも、こっちからも
ペロペロと舌を出しているところを想像してみることである。
死んでしまうという恐れは、こんな時の恐怖感なのである。
そして小さい頃自分が拒絶されることを恐れているということは、
このような体験をしているということなのである。
どこにもかしこにも毒蛇がいて足の動かしようがないということである。
親の過剰なる虚偽の愛情に苦しめられて育った人の現実に対する感情は、
このジャングルの現実に対する感情である。
だからわけもなくビクビクといつも脅えているのである。
そしてこのような恐怖に満ちた世界の中で、自分を守ろうとするのは当たり前である。
その守り方の一つが、他人に好かれることなのである。