理想の自分を演じることに失敗した時、ふと暗い顔をする

人が暗い顔をするのは自分の価値を感じられない時であろう。
人は自分の価値を感じることに失敗した時、ふと暗い顔をする。
あるいは自分の中に力を感じることに失敗した時に、ふと暗い顔をする。

自分の心の底にある絶望感がその人の顔を通して表れるのではないだろうか。
自信のなさがその失敗を通して表れる。心の底の暗さがふと顔をのぞかせる。

自分への失望感から眼を背けている人がいる。自分への失望感を抑圧している人である。
その様な人は何とかして自分の価値を感じようと必死である。
それにもかかわらずそのことに失敗する。

その時人は自分の心の底にある絶望感と直面する。
人知れず暗い顔をするのはその時である。
自分の反応が何の効果もないことを知って絶望感を深めていく。

必死で明るい人を演じる人がいる。
心の底が暗ければ暗いほど逆に明るく振舞うことで、その暗さと直面することを避けようとする。
その人が見せるふとした暗い顔、それは必至の戦いに敗れたことを表現している。

その暗い顔は、やっぱり自分はダメなんだという絶望感である。
また恥をかいてしまったという屈辱感である。

今度こそ、今度こそと頑張りながらやはりダメだったという絶望感がふと見せる暗い顔である。
そのふと見せる暗い顔こそ、その人の本質的部分なのである。
その人の本質的部分が表現されたと言ってもいいかも知れない。

それを周囲の人は見落とすからこそ、何か悲劇的事件があった時、
あの明るい人が「なぜ?」という疑問が湧いてくるのである。

しかしもし周囲の人がその人を愛し、その人に関心があるならふと見せる暗い顔に気がついているに違いない。