素直に「ありがとう」と言えない
うつ病になるような人は、幼い頃、甘えをよくないこととして排斥している。
しかし甘えは、心の奥にいつも満たされることを求めて待っている。
そのように甘えの欲求が満たされていない人は、
自分の近い人が甘えの欲求を満たすように行動することを要求する。
殊に不安なときには、その要求が激しい。したがって怒りも激しい。
つまり自分が非難されているという、間違った思い込みも激しい。
それだけに愛情確認のために、相手に絡むのもしつこい。
いつも相手が自分に機嫌よく接してくれないと耐えられない。
相手に怒りながら、その怒りを表現することで相手を失う危険が増大する。
したがって、直接的に怒りを表現できない。
そこで、言動がとにかく素直でなくなる。
何があっても素直に喜べない。素直に「嬉しい」と言えない。
素直に「ありがとう」と言えない。素直に「これがしたい」と言えない。
「私はいいんですけど、でも」と言う。自分がいいなら、それ以下を言う必要はない。
恩着せがましくなる。もったいぶる。自分のしたことを過大に評価してもらおうとする。
あるいは自分の惨めさを強調する。しかし、たいていはどちらも逆効果である。
相手にとってはうるさいものでしかない。