自分に都合いい解釈で自分を守っている

ナルシストは自分の作ったものをどうしても高く評価しがちである。
自分の書いた文章、自分の描いた絵、自分のした仕事を
不当に高く評価している。酔っている。

だから、それが批判されるとひどく傷つく。そして激しく怒る。
ナルシストが普通の人よりも傷つくのは、彼らより周囲と信頼関係が
ないからである。

また、自分に酔っているから、お世辞と本当の賛辞の区別が分からない。
相手の言うお世辞をまともに受けとる。

だから、すぐに舞い上がるし、ちょっとけなされると、とたんに落ち込む。
また、周囲からそうしたナルシスティックな態度やつまらない仕事への
批判がくれば、悪意ある攻撃だととりがちである。

そして批判した人を殺したいほど憎む。
彼らは批判を悪意ある攻撃だと解釈することで、成長の機会を失う。

自分のことを「すごい、すごい」と言ってくれる人としか付き合えなくなる。
ある女性は「今日も~のパーティーなの。明日は~に誘われているの」と、いつも言っている。

皆から「ワー、すごい」と言ってもらいたいのである。
しかし、実際の生活はかなり違うので、現実には付き合う人が次第にいなくなる。
つまり、ナルシストは狭い世界へ、小さな世界へと自分を追い込んでしまう。

人間関係は広がらない。
そして住んでる世界も狭くなるから、さらに傷つきやすくなる。

ナルシストが他人からの批判を悪意ある攻撃と受けとるのは、
自分自身が悪意の人だからである。

また、批判を悪意ある攻撃だと解釈するばかりでない。
その他にもいろいろな解釈があるだろう。

例えば、自分の話や仕事や主張の素晴らしさを認めないということを
相手の狭量と解釈する。

あるいは、自分には「愛がない」「思いやりがない」と解釈する。
あるいは、「自分のことを妬んでいる」とか、「焼き餅をやいている」とか、
「オレのことを分かっていない」などと解釈する。

こう解釈すれば、自分は傷つかないですむ。
自分のしようとする行動自体が一人よがりの世間知らずの身勝手な
ものだとは思わない。

実はナルシスト自身が「狭量」で、「愛がなく」て「思いやりがない」。
いずれにしてもそう解釈することで、ナルシストは成長の機会を失う。
その批判を真摯に受け止めたときに人は心理的に成長するものである。