ほめることの難しさ

 

近所のおばさんに挨拶した。
「おはようございます」わーい(嬉しい顔)

おばさんも挨拶してくれた。
「おはよう。U子ちゃん、お姉ちゃんに似てきたわね」わーい(嬉しい顔)

U子には年の離れた姉がいた。姉は外面が良いが性格が悪い。
派手で男を次々変えている姉をU子は嫌いだった。

学生時代の姉は、不良で暴力事件も起こし、何度も警察のお世話に
なっていた。親には散々姉のようになってはいけないと聞かされ
生きてきた。U子は親の期待を一身に背負い、真面目に生きることを
義務付けられた。そんな生活に嫌気が差していた。ふらふら

そんな中、おばさんが放った一言。
「お姉さんに似てきたわね」

おばさんには悪気はない。おばさんの眼には姉が良い人に映っている。
姉の過去を知らない。

U子は、おばさんに憎しみを抱くようになった。
「あの、ババア。覚えてろよ」

U子が姉を尊敬していれば最大のほめ言葉。
U子が姉を軽蔑していれば最大の屈辱の言葉。

人と比べる言葉は安易に使うものではない。