「気持ちいいなー」という感覚を体験すること

笑顔で子供をお風呂に入れながら「気持ちいいね」と話しかけてくる母親と、
黙ってお風呂に入れている母親とでは、子供の心の成長は違ってくる。

母親に「気持ちいいね」と話しかけられるから、子供は「気持ちいい」という
感覚を身につけていく。「おいしい」も同じである。

普段使っている言葉の意味を五感とともに教えるのが心の教育である。

食事のときに、まるで動物にエサを与えるように食べ物を出され、そのうえ
「早く食べなさい!」と怒鳴られる子供がいる。

この子に食事をおいしく食べる意欲をもたせることは難しい。
それに対して、食べながら「おいしい?」と母親に声をかけられる子供もいる。
そこで子供は「これはおいしい」と判断するようになる。

無償の愛情を与えることができない母親は、言葉のなかに含まれている五感を子供に教えていない。
子供は本来、そうしたかけ合いを通じて生きる楽しさを身体で覚えていく。

食べ物が熱いと、母親は「フーフーしながら食べようね、熱いからね」と教えてくれる。
そういう母親の保護があって、つまり、声をかけられながらお風呂に入り、やりとりをしながら
食事をすることによってはじめて、子供は幼児的願望が満たされて、生きることに前向きになれる。

心の教育とは、「気持ちいいなー」という感覚を体験することである。
さわやかな緑を見て、朝の風にあたって「気持ちいいなー」と感じること。

その爽快さを体感させてあげることが心の教育である。
そういう「気持ちいいなー」という体感の積み重ねによって、感動する心が育つ。

感動できる人間になっていく。爽快な心地よさの体験の積み重ねで心は育つ。
その体験がうつ病になるような人にはない。