親子の問題について、三つの間違った神話がある

一つは、社会的に優れている人は、立派な親であるという神話である。
実は社会的に立派な仕事をする能力と、親の子育ての能力は違ったものである。

二つめは、親子は互いに好きで愛し合うのが当たり前という神話である。
実は、親は子供の言葉に傷つくし、子供は親の言葉に傷つく。

お互いに嫌いになることもあるし、憎み合うこともある。
心には憎しみがあるが、表面は真面目で素直で従順な良い子は多い。

間違った神話の三つめは、親は子供を愛するという神話である。
子供を愛する親もいれば、子供から搾取する親もいる。

一口に家族と言っても、その中身はものすごい違いがある。
人が家族という言葉を聞いた時に持つイメージは、限りなく広い。

同じ家と言っても、広大な大豪邸もあれば、小さな家もある。
同じ家という言葉で表すのがおかしいと思うほどそれは違う。

しかし、その中に住んでいる家族となると、それはさらに大きな違いがある。
同じ性質のものの違いではない。天国と地獄の違いなのである。

家の違いは、しょせんは広さの違いとか、豪華さの違いである。眼に見える違いである。
しかし家族の違いは、眼に見えるものではない。兄弟と言っても親と言っても、
それは全く違うものを指して、それぞれの人が「親」とか「兄弟」という言葉を使っている。

天使の親もいれば、悪魔の親もいる。
自分を地獄に突き落とした親を持った人が「親」という言葉を使った時と、
自分を天国に連れていってくれた親を持った人が「親」という言葉を使った時では、
その「親」という言葉の内容は違う。