相手の依頼を断るから自信ができる

人間は相手の言うことに従うから自信ができるわけではない。
相手の要求を引き受けるから自信ができるわけではない。

逆である。迎合すると自分が頼りなくなる。
相手の依頼を断るから自信ができるのである。

相手の依頼を引き受けて自信ができるのは、その瞬間、その特定の
相手に対してのみである。

それはおよそ、「自分に自信がつく」というのとは似ても似つかないものである。
そうすることでいつも自信を持っているためには、会う人会う人、
誰の依頼も引き受けていなければならない。

スーパーマンでもあるまいし、そんなことできる人などいない。
「私にはできない」と相手の依頼を断るから、自分に自信ができる。

もちろん、断ればそれだけで自分に自信がつくというものではない。
断るけれども、実際に自分ができることは誠意を持ってするから
自信ができるのである。

自分にできないことを断るということと、誠意を持って自分のできることは
するという姿勢で世の中に対して堂々としていられるのである。

例えば、知り合いに連帯保証人を頼まれたとする。
自分が納得して判を押すなら問題はない。

しかし、もしいい顔をしたくて判を押したらどうなるか。
あるいは嫌われたくなくて判を押したらどうなるか。
あるいは何となく断れなくて判を押したらどうなるか。

そして、その知人が支払い不能に陥った。
判を押した人にも、そんな余分のお金の支払い能力はない。

そうすれば、その人の人生も破滅に向かうしかない。
実際の自分にできないことを頼まれたときに断れない弱さが、
その人を破滅に向かわせる。