心理的に誰かにしがみついていないと生きていかれない

男性は自分に近くない女性に対しては、たいてい自立した一人の
女性であることを望む。

結婚していても、恋愛していても、一人の人間としての部分を
持つことを許す。

しかしそれがひとたび自分の恋人とか妻とかいうことになると
全く別になる。

外で働くことなく、家庭の中に閉じ込めたいと願う男性もいる。
その願いに気がついている人はまだいい。

問題な人というのは、自分の心の底のその願いに気がついて
いない人々である。

所有欲や依存心の少ない人は、近い人に対して、好きだけど嫌い、
一緒にいたいけれど離れていたい、といった両価的な感情を
持つことはない。

内面が悪いとか近親憎悪とかいったことがなくなる。

心理的に一人で生きていかれるなどの自立性を獲得した人は、
近くなれば近くなるほど親密になり、ドロドロした感情が入り込んでこない。

どんなに近くなっても感情的にはスッキリとしているし、
親密な人に対してのほうが自由に感情表現ができる。
近い人といる時のほうが晴れやかで愉快で明るい気持ちでいられる。

一緒に生活を始めると、急にどうしようもなく押し黙って不機嫌になり、
重苦しくて仕方なくなり、次々を相手を替えていくというような人は、
ものすごい依存心を心の中に残しているのである。

心理的にまだ親子の分離がうまくいっていないのである。
心理的に誰かにしがみついていないと生きていかれない。
そして心理的にしがみついた人に対して重苦しい不快感情を
味わってしまうのである。