しなくてもいいことをして不満になる

人を動かせないと嘆いている人を見ると知恵がない。
知恵がないということには二つのことが言える。

一つは、しなくてもいい努力をする。
もう一つは、努力の仕方が間違っているということである。

例えば部下がよく働いてくれるとする。
するとすぐにそれに報いなければと思う上司がいる。

こう思うことが上司のストレスとなる。
部下にいい顔をするために頑張る。ますますストレスがたまる。

しかし部下は、はじめは好意で上司のために働いている。
上司が好きだから働いている。それなのに上司は報酬を出そうとする。

するとその報酬によって部下の好意は変質する。
次第に報酬がなければ上司のために仕事をしなくなってしまう。

いつか上司は部下に十分な報酬が出せなくなるときがくるとする。
すると部下は以前ほど働かなくなる。上司である彼は不満になる。

しかし同時に部下も不満になっているのである。
お互いに努力をしながら不満になる。

間違った時点で部下に特別な報酬を出したのが二人の不満の原因である。
彼が特別な報酬を出す努力をしなければ部下との関係はうまくいった。

つまり燃え尽き人間の頑張りは、マイナスの頑張りであることが多い。
黙って人にやらせていればいいものを、わざわざ自分がして、燃え尽きている。

ラクをしていればいいものをあえて苦労し、頑張り、結果は
頑張らないほうがいいということになる。

彼自身の部下に対する対応が、部下の気持ちを変えた。
自分が部下の気持ちを変えておいて、それで彼は部下に不満になっていた。